
4月10日より、欧州連合(EU)は29の参加国で完全デジタルの入出国管理システム(EES)を導入し、非EU短期滞在者のパスポートスタンプに代わり、顔画像と指紋の登録を開始しました。航空会社や空港グループは、初期数か月間は処理時間が最大70%増加すると予測しており、試験運用地では2時間を超える行列が報告されています。一方、シェンゲン圏外のアイルランドはEESを導入せず、引き続き手動でパスポートにスタンプを押します。これにより到着時の生体認証登録は不要となるものの、複数区間の旅程を組む旅行者には新たな複雑さが生じます。例えば、ニューヨークからダブリン経由でパリへ向かうアメリカ人ビジネスエグゼクティブは、ダブリンで手動の入国審査を受けますが、パリ出発時にまだ生体認証登録をしていなければ登録が必要です。企業のモビリティ担当者は、初回のEES登録にアムステルダムやフランクフルトなどの乗り継ぎ拠点で30~45分の追加時間がかかる可能性があることをスタッフに周知すべきです。従業員は自己手配の旅程に余裕を持った最低乗り継ぎ時間(MCT)を設定し、可能な場合はEUの「Travel to Europe」アプリを通じて生体情報を事前にアップロードすることが推奨されます。英国や米国から頻繁に訪れる旅行者を抱えるアイルランドの企業は、渡航者数がピークを迎える夏前までに出張を計画するのが望ましいでしょう。一方で、アイルランドがEES非導入を維持することで、多数の非EU代表者が参加する会議の開催地としての魅力が高まる可能性もあります。ただし、主催者はシェンゲン圏への乗り継ぎのための専用カウンターを設ける必要があります。長期的には、この分岐はアイルランドの独自の国境近代化プログラムの重要性を浮き彫りにしています。司法省はビザ必要国籍者向けのeゲート試験運用を進めていますが、完全なデジタル出国追跡システムの導入は少なくとも3年先となる見込みです。