
3月30日遅くにドイツのフリードリヒ・メルツ首相が突如発表した政策によると、同国に住む約100万人のシリア人の保護状況を再評価し、3年以内に最大80%の「自発的かつ組織的な」帰還を促進する方針を示しました。メルツ首相は、戦後のシリアで「著しく改善された安全状況」を根拠に、大規模な帰還は現実的かつ必要であり、「亡命制度への信頼回復」に繋がると主張しています。今回の計画は人道的移民を対象としており、経済的な人材とは区別されていますが、世界の移動労働市場に大きな波紋を投げかけています。エンジニアリング、IT、医療分野などでシリア難民を受け入れてきた企業は、在留許可の更新や人材確保に不安を抱えています。首相は、就労や教育にしっかりと統合されているシリア人は滞在を認めると強調しましたが、「成功した統合」の基準は明確にされておらず、収入水準、ドイツ語能力、犯罪歴の有無が判断材料となる見込みです。この提案には、シリア人労働者が深刻な人手不足を補い、ドイツで高額な職業訓練を受けていることを指摘するNGOや一部の経済団体から即座に批判が寄せられています。彼らは、強制的な帰還が技能不足を悪化させる恐れがあると警告しており、改正技能移民法のもとで年間40万人の外国人労働者受け入れを目指す国の方針と矛盾するとしています。政治的には、今回の動きは重要な州選挙を控え、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を抑える狙いと見られています。連邦議会が大規模な保護状況の見直しを支持するか、またダマスカス政府が安全な帰還を保証できるかは不透明であり、ドイツの行政裁判所で長期にわたる法的争いが起こる可能性もあります。人事・移動管理担当者にとっては、まずは労働力の構成を精査し、一時保護資格を持つシリア人社員を特定、政策が議会で承認された場合に備え、技能移転プログラムやEUブルーカードなどの代替的な在留ルートの準備を進めることが急務となります。
出典: Greek City Times