
ドイツ連立政権は「デジタル旅客処理法案(Gesetz zur digitalen Fluggastabfertigung)」の草案に合意し、今夏からドイツ国内の空港でパスポートやIDカードを提示せずに通過できる全国的なパイロットプログラムの道を開きました。この法案により、航空会社は乗客の任意同意のもと、オンラインチェックイン時にドイツの電子IDカードやパスポートに保存された生体写真を読み取ることが可能になります。旅客が荷物を預けたり、保安検査を通過したり、搭乗する際には、自動ゲートが事前に取得した生体情報とリアルタイムの顔認証を照合します。物理的な書類確認は例外的なものとなります。連邦デジタル・交通省(BMDV)は、この改革により年間約110万時間の待ち時間が削減され、航空会社や空港、保安業者の人件費が約6300万ユーロ節約できると見込んでいます。これは欧州連合が推進する非接触型の国境管理システム「入出国管理システム(EES)」や今後導入予定のETIASと連動しています。ドイツ航空協会(BDL)を代表する航空会社や空港運営者は、フランクフルトやミュンヘンでの閉鎖試験で生体認証による「ワンID」通路が搭乗時間を最大30%短縮したことを評価し、この提案を歓迎しました。一方、消費者権利団体は任意参加モデルを支持しつつも、完全なデジタル通路が唯一の選択肢になることには警鐘を鳴らしています。生体認証を拒否する乗客やスマートフォンを持たない人が排除されるリスクがあるためです。議会が夏季休会前に法案を可決すれば、フランクフルト、ミュンヘン、ベルリン・ブランデンブルク空港(BER)などで7月から8月のピークシーズンに向けて、エンドツーエンドのデジタル旅客処理が開始される見込みです。企業の出張管理チームは、旅行データ保護条項の見直しと、ドイツの航空会社アプリに表示される新しい同意画面について派遣社員への説明を準備すべきでしょう。
出典: CHIP / Merkur