
キプロスの独立行政・人権委員マリア・スティリアヌ=ロッティデス氏は7月30日、昨年正式に確認された30件の人身売買被害者数は「問題の実態を反映していない」と厳しい見解を示した。ニコシアでの発言で、AIを悪用した採用詐欺やディープフェイクによる偽身分証明書といった新たな脅威が、国境管理官や労働監査官による被害者の発見を一層困難にしていると指摘した。最近の5件の有罪判決を評価しつつも、ロッティデス氏は警察のサイバー犯罪ユニットへのデジタルフォレンジック研修や、金融情報分析官との連携強化など、より積極的な捜査の必要性を強調した。また、政府に対しては安全な避難所の拡充と、事件の捜査中も被害者が合法的に働き続ける権利の保障を求め、再被害防止の重要な要素であると訴えた。委員は人身売買を人権侵害であると同時に、キプロスの外国投資誘致に対する脅威と位置づけ、サプライチェーンのスキャンダルが同国の成長著しいテックスタートアップやニアショアサービスセンターの魅力を損なう恐れがあると警告した。さらに、企業に対しては2027年施行予定のEU強制労働規制を企業の社会的責任(CSR)方針に組み込むよう促した。グローバルモビリティの専門家にとっては、移民コンプライアンスプログラムに人権デューデリジェンスを組み込む必要性を再認識させる内容だ。人事部門は、転居業者や派遣会社、清掃・ケータリングの下請け業者に明確な苦情処理メカニズムがあり、労働者に理解可能な言語で契約書を提供しているかを確認すべきである。これを怠ると、キプロスの改訂版「移民統合国家戦略2026-2029」に基づく行政罰や評判リスクに直面する可能性がある。ロッティデス氏は、10月から四半期ごとに人身売買リスクに関する情報を発信する報告書を公表し、雇用主や派遣管理者が自社のデューデリジェンスを評価するための新たなデータ源を提供すると約束した。
出典: Cyprus Mail