
欧州委員会は7月15日、キプロスに対して9つの政策分野で違反手続きの第一段階を開始し、正式な通知書を送付しました。問題の中心は、非EU国籍者の就労・居住許可を統合し、申請処理を90日以内に完了させることを義務付け、雇用主間の移動の自由度を高める改正単一許可指令のキプロスでの遅延した国内導入です。ブリュッセルはまた、平等機関に関する新たなEU基準、危険物車両の道路検査、危機時に必需品の流通を維持する緊急市場監視規則の未施行も問題視しました。違反手続きは通常のコンプライアンス手段ですが、今回の対象分野の広さは異例で、資本市場改革の「上場法」から電子機器の有害物質免除、環境犯罪に対する厳罰化まで多岐にわたります。キプロスは各案件について、措置の導入方法と期限を2か月以内に説明しなければならず、応答がなければ次の厳しい段階(理由付意見の発出、EU司法裁判所への提訴や罰金の可能性)に進みます。グローバル人材マネージャーにとって注目は単一許可指令で、国内法施行後は申請処理の迅速化・予測可能性向上や、第三国労働者が雇用主を変更しても許可手続きを最初からやり直す必要がなくなる新たな権利が得られます。遅延は、技術、海運、金融サービス分野で高度人材を誘致しようとするキプロスの動きとEU全体の歩調を乱すことになります。実務上は、地域間の人事異動を計画する企業は、現地法の整備が完了するまでキプロスへの異動に余裕を持たせる必要があります。人事部門は、新ルールで義務付けられる雇用主変更の書面通知など追加のコンプライアンス対応も準備すべきです。キプロスが2か月の期限を逃すと、欧州委員会の対応強化により実施時期の不確実性が増し、異動スケジュールやベンダー契約に影響を及ぼすリスクがあります。さらに、この違反手続きの多発は政治的な意味合いも持ちます。キプロスは現在EU理事会の議長国を務めており、6月に発効した新たなEU移民・庇護パクトの一環として秩序ある労働移動を推進する役割が期待されています。迅速な是正措置は、膨大な立法作業を抱えながらも移動管理の実効性を示す重要なメッセージとなるでしょう。
出典: Cyprus Mail