
内務省は4月26日遅く、国家安全証明書庁(ANTS)が4月15日に発覚したセキュリティ侵害を受け、ants.gouv.frポータルを緊急メンテナンスモードのまま維持していることを確認した。この侵害により、約1,200万件のユーザーアカウントに紐づく個人情報が流出した。フランスのパスポート、国民IDカード、運転免許証のオンライン申請を一手に扱い、海外の領事手続きの基盤ともなっている同サイトは、4月24日19時30分(中央ヨーロッパ時間)にサービスを停止した。停止中は市民や海外在住者が新規申請や既存の申請状況の追跡ができず、静的な情報ページとFAQのみ閲覧可能。ヘルプラインへの電話は40分以上の待ち時間が報告されている。市役所(マイリー)には緊急の身分証明書申請に関して紙のCERFAフォームを使用するよう指示が出され、対面での手続きに1人あたり最大30分の追加時間がかかる。世界中のフランス領事館も同様の制約に直面し、一部ではパスポートの予約を5月中旬まで延期している。時期的に厳しく、夏の旅行シーズンを控えた春後半は更新需要が急増し、2024年オリンピックに向けて発行された多くのパスポートが今年期限切れを迎える。旅行代理店は、ピークシーズン前に書類が発行されなければ旅行キャンセルの可能性があると警告している。フランスへの赴任や帰任を控える企業も、居住許可の確認や社会保障登録に必要な渡航IDの取得遅延に直面する恐れがある。サイバーセキュリティ専門家によると、極めて機微な生体情報は流出していないが、氏名、メールアドレス、一部のID番号が数時間にわたりアクセス可能だった。ANTSはフランスのデータ保護機関CNILに侵害通知を提出し、侵入テスト完了後「数日以内」に再開を約束している。大規模なモバイルワークフォースを抱える企業は、従業員にパスポートの有効期限を早めに確認し、更新に余裕を持つよう促すべきだ。ポータル再開後は、過去59か月以内に申請されたデジタル指紋情報が引き続き利用可能で、生体認証の再提出は不要となる見込みだ。それでも今回の事件は、フランスの移民・渡航書類インフラの多くが依存する電子政府プラットフォームの脆弱性を浮き彫りにしている。