
5月12日にフランス国民議会で発言した労働大臣ジャン=ピエール・ファランドゥは、国境を越えて通勤する労働者の失業給付費用を居住地ではなく勤務先の国が負担するというEUの改革案を採用するよう、スイスのベルンに圧力をかけると表明しました。この問題はフランスにとって非常に重要で、ジュラからアルザスにかけての東部地域に住む元スイス国境労働者に年間8億6,000万ユーロを支払っています。4月に21か国が支持したEU規則883/2004の改正案では、失業手当は勤務先の国が負担することになっています。スイスはEU非加盟のため、この変更には二国間自由移動協定に基づく明確な同意が必要です。スイス経済事務局(SECO)は、この改革によりスイス連邦の負担が年間6億~9億スイスフランにのぼると試算しており、移民問題や社会保障費が国内議題の中心となる今年は政治的に敏感な問題です。フランス側は、現在の制度は不公平だと主張しており、約2万7,500人のフランス居住者がスイスでの勤務経験をもとにフランスの失業給付を受けている一方、スイスはその一部しか返済していません。ベルンは、すでに税収の移転を通じて国境地域に貢献していると反論し、制度の見直しはEUとスイスの関係全体(現在議会で審議中の「二国間協定III」)の枠組みで交渉すべきだとしています。特にレマン湖やバーゼルの製薬、金融、製造業の企業にとっては重大な問題です。もしスイスが国境労働者の失業保険を負担することになれば、政治家は新規EU労働者の受け入れ枠の厳格化、雇用主の失業保険料引き上げ、短時間労働制度の厳格化などでコストを補おうとする可能性があります。グローバル人事チームは、欧州委員会、パリ、ベルンの三者間協議が6月に再開される見込みのため、動向を注視すべきです。フランスからの通勤者が多い企業は、スイスの社会保障負担増の財務影響をシミュレーションし、将来的な給付ルールの変更に備えた従業員向けのコミュニケーション計画を準備することが望まれます。
出典: Anadolu Agency