
3月31日は、米国の新しい賃金加重型H-1B選考システムによる初の抽選締切日となります。これは1990年以来続いてきたランダム抽選から大きく転換したものです。2026年2月27日から、USCISはレベルIVの賃金オファーに4つ、レベルIIIに3つ、レベルIIに2つ、レベルIに1つのエントリーを割り当て、高賃金を提示する雇用主に有利な仕組みを導入しました。この政策は、トランプ政権が掲げた「最も優秀な人材を優先し、米国労働者の賃金低下を防ぐ」という考え方を反映しています。FWD.usの推計によると、米国内には約73万人のH-1B保持者と55万人の扶養家族が居住しており、選考基準の変更は労働市場に大きな影響を及ぼします。人事担当者にとっての主な影響は以下の3点です。1. 賃金戦略がビザ取得の成否に直結。コスト削減のために低賃金を設定すると、加重プール内で候補者が事実上選ばれにくくなる可能性があります。2. コンプライアンスリスクが「上流」に移行。登録情報(SOCコード、賃金レベル、勤務地)が最終申請と一致している必要があり、USCISは選考後に賃金を変更した場合、承認を拒否または取り消す可能性を示唆しています。3. 業界間の格差拡大。医療、教育、地方の雇用主はレベルI~IIの賃金に依存しているため、選考率の大幅な低下が予想され、技能不足が深刻化する恐れがあります。実務的な対応策としては、早期の賃金監査、選ばれなかった候補者への代替プラン(O-1、L-1、TNビザなど)の検討、労働条件申請と登録データの綿密な連携が挙げられます。特に中小企業は、オファー賃金を引き上げるコストと、重要人材を1年間失うリスクのバランスを慎重に判断すべきです。今後、移民弁護士はDHSの抽選制度再設計の法的権限を問う訴訟が予想されるものの、仮に差し止め命令が出てもFY2027サイクルには間に合わない可能性が高いと見ています。現時点では、賃金がH-1B取得の新たな「通貨」として扱われる時代となりました。
出典: HR Executive